2010年06月26日
分かりやすい話し方
「多色刷りの技法が鈴木春信によって開発された」
(『日本文化を英語で紹介する事典』ナツメ社より)
という内容を外国人に説明するとして、
'Suzuki Harunobu developed the technique of printing with colors.' と英訳するとします。・・・が、'Suzuki Harunobu’という固有名詞がいきなり出てきて、聞いている外国人は、'Su... what? who?' と聞き返すことになります。慣れない日本語の固有名詞は、日本人でさえよく聞き取れません。
そこでよくやるのが、
'There was an Ukiyoe artist called Suzuki Harunobu. He developed the technique of printing with colors.' ・・という風に、最初にこれから説明する人や物が何なのかの大まかな紹介をまずは行う、という方法があります。これは英語に限らず日本語でも同じで、分かりやすい話し方のコツでもあります。たとえ'Suzuki Harunobu'という固有名詞がよく聞き取れなくても、'an Ukiyoe artist'だということさえ分かれば、聞き手はそれほど不安になりません(よほど春信の名前を覚えたい人以外は)。
自分ペースで説明するのではなく、どういう言い方をしたら聞き手にとって分かりやすいか?を考えて話す。相手が知りたい情報は何か?を意識して話す。コンテンツも大切ですが、段取りやニーズをつかむことも同じくらい大切だと思います。
2008年10月26日
挨拶もアサーション
土曜日の2講座のスタートは、まずまずだった。
いつも思うことは、受講生から見て教えている私はどう映っているのだろう、ということだ。
受講後のアンケート等を読むと、どうやら私は授業中笑顔を振りまいているらしい。
愛想笑いをしているつもりはないのだが(笑)
初回の授業というのは、講師にとっても受講生にとっても、非常に緊張するものだ。
お互いにどんな相手か分からず、皆身構えている。教室に入った瞬間に感じる、全員
からの刺さるような視線。はっきり言ってコワイ。しかしそこでビビったら私の負けだ。
よっしゃーっとばかりに大きな声でとびきりの笑顔で(ここがポイント)、
'Hello, everyone!!' と挨拶をする。そうすると、それにつられて受講生もつい '....Hello..' と
言ってしまうのだ。ここから先は私ペースで進む、進ませる(笑)
挨拶はコミュニケーションの大切な第一歩であり、立派なアサーション(伝えるスキル)
である。明るく笑顔で言う 'Hello' は、既に「私はあなたに会えて嬉しい。これからも
宜しく!」と伝えているのだ。アンケートに書かれる私の笑顔は、無意識にそういう気持ちを
伝えているのかもしれない。でも、ビビリの笑顔も多少あるかも(笑)
2008年09月24日
ポジティブな表現
人に何かを伝える時、どんなことに注意しているだろうか。
例えば、誰かと会うアポを取っているとする。相手の希望している日がダメだった場合、
どう答えるか?
「その日はダメなんです。」 「他の予定が入っています。」 「別の日にしてもらえませんか。」
・・・これらは別に悪い言い方ではないが、下記のように答えたらどうだろう。
「残念ながらその日は既に埋まっていますが、○日と○日は空いてます。いかがですか?」
「今週は難しいですが、来週ならあなたの予定に合わせられますよ。お好きな日をどうぞ。」
実は、これこそまさにアサーション(自己主張)である。
ちょっとした先回りの質問やコメントをすることにより、やり取りはよりスムーズに進む。
相手も選択肢が与えられ、アポをとることは迷惑ではないのだと、安心もするだろう。
自分の状況をきちんと相手に伝えることは、相手を追い詰めることではない。事実を
そのまま伝え、その事実に基づいて物事を解決する一番確実な方法だ。その日がダメな理由をあれこれ並べ立てるよりも、ずっとすっきりした後味のよいコミュニケーションである。
英文e−mail のテキストを作っている時、I can't meet you that day. のポジティブな
言い方を考えていたら、こんなことが浮かんできました。
2008年09月19日
ロジカルな英文e-mailとは
これまた、表題のテキストを作成中である。
英語のe-mail といっても、特別な書き方があるわけではない。よく使う表現や単語さえ
覚えてしまえば、あとは普通の英作文である。使用する英文法も中学レベルで十分だし、
大作を書こうとする必要もない。
英語を書くことよりもむしろ難しいのは、いかに「ロジカルに分かりやすく」書くかである。
自分が満足する文章ではなく、読み手の理解度をいつも意識して書く。文章は長すぎ
ないか、表現が曖昧でないか、情報が多すぎないか、こちらの要望は伝わっているか
等々。どんなに格調高い文章を書けても、こちらの思惑が相手に伝わらなければ、
何の意味もない。それがビジネス文書ならなおさらである。
飾りのいらないビジネス文書では、よけいなことを書く必要はない。読み手にラクをして
もらいながら、こちらの用件すべてを理解させるようにもっていくのがコツである。
まずはロジック、そして英語である。
2008年09月15日
先に言うことの重要さ
この3連休、5回目の富士登山に行ってきた。
今の時期にしては天気にも恵まれ、寒かったものの無事山頂に立ちつことができ、且つ
お鉢めぐりまでできてしまった。快挙である。日頃の私の行いに、神様がきちんと応えて
くれたと勝手に解釈(笑)
さて、表題の件。
毎年、富士登山は旅行会社のバスツアーに参加するのだが、ちょっとしたコミュニケーションの努力は、人をとてもラクにする武器になるということを、改めて実感した出来事があった。朝の出発時、添乗員の彼はたった一人で参加者の受付を行っていた。参加者は受付を済ませると自分のバスに乗り込んでいくのだが、実は席順が決まっていた。席順名簿がバスの入口に貼り付けてあったのだが、誰もそんなものには気づかない。人は色んなものを見ているようで見ていない。私達は席順通りに座ったが、しばらくして多くの人が席の交換を余儀なくされ、バスの中はちょっとした混乱状態になった。
さて、ここで思ったこと。・・・「たった一言、先に言うだけなのに。」
これこそまさに、アサーション(自己主張)である。一人で忙しかった添乗員の彼を思えば、バスの運転手さんが少し気を利かせてくれたらよかったのにと思う。たった一言「席順を確認してから座ってください。」と言うだけで、混乱は防げたのだ。
自己主張というと、何かを押しつけられそうな感じがしてネガティブなイメージを持つかもしれないが、上記のようなことも立派な自己主張である。ある事実を先に知らせておくことにより、無駄な時間や労力を省け、自分も相手も「得」するのだ。
ちょっとした先回りの「言葉配り」は、予想以上に物事をスムーズに運ばせてくれる。何気ない前情報が、その後に訪れる結果を何倍も良いものにしてくれることが多いのである。